WOLで、シャットダウンしているPCをリモート起動する

よくある間抜けな話に、リモートデスクトップ接続しているPCを再起動するつもりでシャットダウンしてしまうというものがあります。
Windows7 のリモートデスクトップ接続では、再起動、シャットダウンが非表示になっていましたけど、Windows10 ではリモートデスクトップ接続で、再び再起動やシャットダウンが可能になったのはいいけど、間違って再起動するつもりで電源を切断してしまう事故が発生することがあります。リモートPCをシャットダウンしてしまうと、現地に行かないとどうしようもありません。

PC設置場所が隣の部屋ならそこまで足を運ぶだけなんですが、休日や深夜のオフィスにあるPCの電源を落としてしまうと翌日まで手を出せないことも。

BIOSの設定の中に「Wake on LAN」の設定を持つものがあります。別のデバイスからマジックパケットを送ることで、停止状態にあるPCを目覚めさせる機能のことです。前から、試してみたい機能だったので、テストしてみることにしました。

シャットダウンしておくPC

まず、停止させる前のPCでWake on LAN (WOL)機能を有効にしておく必要があります。WOLがデフォルトでOnになっていればいいのですが、それはメーカーやモデルによって異なります。有線LANで接続されているPCハードウェアである必要があります。
BIOS/UEFI メニューに必ずしも、Wake on LAN とか WOL という用語が使用されているわけではありません。

BIOSTAR J3160NH:

BIOSTAR J3160NH の WOL 設定Wake On LAN というメニューではなく、PME Wake Up from S5 という記述になっていますので、これを Enable にします。

GA-78LMT-USB3 R2:

GA-78LMT-USB3 R2のWake on LAN 設定こちらも、WOL という表記ではなく、PME Event Wake Up という表記になっていますので、これをEnable にし、保存した後OSを起動し、その後でチャットダウンしておきます。

これで準備完了。

WOLパケットを送出するPC

マジックパケットを送出するツールを探して、インストールしておく必要があります。
私が試してみたのは、nWOL というツール 。このツールは準備がとっても簡単で、一度使うと別のツールを試す気にならないくらい便利。

https://n-archives.net/software/nwol/

nWOLを起動して、ターゲットPCのIPアドレスとMACアドレス情報を一台一台登録してゆけばいいのですが、同じサブネットのPC情報をスキャンして、そのまま登録することができます。
そこから不要なPC情報を消去してしまえば準備完了です。

nWOL のマジックパケット送出画面マジックパケット送出可能なPCは赤い電源ボタンが出ているので、赤い電源ボタンを押して起動。実際に起動中かどうかわかりませんが、電源ボタンの左にあるカウンターが更新されて、パケットが出ている様子がわかります。

ターゲットPCのLANが開通したらステータスが緑で「On」に変わり、電源が投入されたことがわかります。

実際にリモートログイン出来るようになるまでには、もう少し待つ必要がありますが、1分もすればリモートアクセス出来るようになります。

落とし穴

nWOLツールは、ネットワークに接続されたPCに起動のためのパケットを送出するだけですので、起動したいPCの状態が一言でシャットダウン状態だとしても、マザーボード上の起動用回路に電力が供給されない深いレベルのシャットダウン状態にあると、マジックパケットを送ってもPCの起動は出来ません。
リモートPC OSからコマンドでシャットダウンした場合は、マジックパケットで起動出来ますが、電源ボタン長押しで停止させたようなケースでは nWOL で起動出来ない場合があります。
これは、マザーボードの仕様や、BIOS設定、電源の仕様によります。
再起動しようとして、間違ってシャットダウンしたようなケースでは問題無くWOL起動出来るでしょう。

まとめ

マジックパケットはイーサーネットのパケットですので、ルーター越えは出来ません。なので、自分の手に届く範囲のリモートPCを間違ってシャットダウンした場合に、手元PCに nWOLをインストールと設定してあれば席を立たずに再起動出来ます。

しかし、ルーターの向こう側、会社のオフィスなどにあるPC電源を間違って落としてしまった場合は、オフィスの別の1台のPCに nWOL をあらかじめインストールしてこちらにリモートデスクトップ接続出来るようにしておかないと、翌日オフィスが開くまでは手を出せません。

別の視点では、nWOL は同じサブネットのPCを勝手に検出してしまうので、他人が意図的に停止させているPCであっても WOL が有効になっていれば勝手に起動出来てしまいます。
例えばコールドスタンバイのサーバーなど。これはちょっと危険。

また、有線LANではなくWiFiで接続されているPCは、WOL 起動出来ないのではないかと思います。

間違ってシャットダウンしてしまうことに備えるなら、WOL 機能ではなく、指定時刻になると勝手に電源を入れる機能を設定しておくという手もあります。GA-78LMT-USB3 R2なら Power-on by Alarm 設定ですね。
例えば深夜1:00 に電源ONするように設定しておけば、仮に22時に間違った操作したとしても、1時になれば再び使えるようになります。しかし、1時を過ぎて間違った場合は、翌日誰かに電源Onを依頼するか、もう一日待つ必要がありますが。

いずれにせよWOLを使う前に、どういうシーンを想定して準備するのか、WOL機能を使うのがベストの方法なのか?をじっくり考え、あらかじめ実験して準備しておくことが重要だと感じました。

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