故障タイマーというとSony製品を思い浮かべますが、HPのノートPCもタイマーを持っているようです。
パソコンのサービスデスクのようなことをしているので、パソコン利用者がパソコンの調子が悪いと持ち込んでくるのですが、2019年11月、12月は、HP Elitebook 840 G3 との戦いでした。
毎週、1台か2台の 840G3が持ち込まれ、約半分が故障でした。
以下はその事例
PCが起動しない
一口に起動しないと言っても、
- 画面に全く表示が現れず、BIOSメッセージさえ出てこない
- BIOSメッセージが表示されて、OSの起動が始まらない
- Windows10 のドット円は回転するものの、ログインプロンプトにたどり着かない、ブルースクリーンで落ちる→再起動の無限ループ
など、症状は色々あります。
今回は、圧倒的にパターン1が発生。電源ボタンを押しても画面が真っ暗なまま。
よくよく観察すると、CapLockキーのLEDが特定パターンで点滅します。そしてビープ音がする場合も。
HPノートPCの場合は、LED点滅パターンで、故障箇所が分かる場合があります。今回は、3.2点滅ばかり。
https://support.hp.com/jp-ja/document/c04094201
起動不能で2週間の間に3台持ち込まれましたけど、全部 3.2点滅、3.2音。これは、電源投入時のメモリの異常を示しています。たいていは本体側じゃなく、メモリモジュール側の異常のことが多く、予備のメモリモジュールを準備しておくか、2枚刺しの場合メモリスロットをスワップさせると、原因となっているメモリモジュールが分かります。実際、メモリモジュールの交換でユーザーに返却できるものが5割くらいあります。最初から入っていたメモリと拡張したメモリのどちらが原因だったかは、これも半々くらい。
ブルースクリーンでOSが落ちる、OSがフリーズする
起動時に LEDが 3.2点滅が発生したPCも、メモリ交換やスロット交換で3.2点滅は発生しなくなり、OS起動が復活する場合が半分くらいあります。しかし、使い始めると今度はフリーズしたり、ブルースクリーンが発生するものもあります。
こういうケースでは、BIOSのF2 Diagnostics でメモリテストを行うもののエラーを検出できない場合が殆ど。
10分〜20分使うと落ちたり、ちょっとした衝撃(PCを持ち上げて別の場所に移したり、ドッキングステーションと接続、切断したタイミングなど)を与えるとブチっといろんなパターンでOSが死にます。
こうなると、修理するか捨てる(スペアパーツ置き場行き)しかありません。判断は、保証期間中かどうか。
ビジネス向けのElitebook 840 G3は3年保証が付いているので、保証期間内であれば故障であっても何とかなります。大量導入しているとはいえ、初期に配布したPCと後期導入のものでは保証期間に1年くらいの違いがあります。
それで、HPのサポート期間をチェック出来るページでシリアル番号を入力し、保証の有無を確認してみると、、、
https://support.hp.com/jp-ja/checkwarranty
だいたい、つい最近保証期間が切れたか、残り数ヶ月残っているものが大半。
運良く1年以上残っているものもありますが、だいたい2年は経過しているパターンが多い。タイマーじゃ。
HP Elitebook 840のバッテリーが膨らむ
メモリが異常を確認するためには、ノートPCの裏ぶたを開ける必要があります。
この時、別の問題が発生することがあります。画鋲を使ってゴム足を取り外し、プラスドライバーで裏蓋を留めているネジを外してゆくと、通常だったらぴったりはまり込んでいるカバーを取り外すのにプラスチックヘラが必要になるのですが、パカッとカバーが外れるものがあります。
なぜカバーの方から外れてくれるのか?
理由はバッテリーが膨張しているから。私はもう見慣れたからいいのですが、初めて見た時はバッテリーを置いて逃げましたよ。
HPの、ノートPCのバッテリーが膨張する現象に関しての見解は以下のURLのとおり。
https://support.hp.com/jp-ja/document/c06408513
安全性に問題無いので(使い続けることは推奨しないが)使い続けても問題無いとのこと。保証期間内なら変わりを送るけど、保証期間が終わっていれば新品を買えですって。
バッテリーが膨らんでおらず、充電できなくなったなら、バッテリーの寿命ということでいいですよ。しかし、膨らんできたら、保証期間が切れていたって不良品でしょう。これは欠陥品ですよ。一体メーカーとしてどういうつもりなんでしょう?
バッテリーの機能としては問題無いかもしれませんが、膨張するってことは筐体を変形させてしまいます。私が知っている840G3の事例ではキーボードが下から圧迫されて凸系に変形する。フレームの間に隙間が出来てドッキングステーションにつないだ時にぐらぐらする。
840 G1,G2では、フレームが変形してしまい裏側のカバーが外れなくなってしまう。結果的にメモリ交換やバッテリー交換が出来なくなってしまう。
これがスペックの範囲内というんですから、HPはユーザーが安心して使える事なんて全く考えていないことが分かります。
考えられることは、出荷台数に含まれるバッテリーが膨張する不良品の割合が非常に高く、交換なんてやってたら赤字垂れ流しになってしまう。メーカー主導の交換プログラムはコストが掛かりすぎることがわかりきっているので、責任をユーザーに押しつけたいという姿勢。
膨らんだバッテリーを回収する気もないわけです。既に、バッテリーが膨らむ理由は分かっているので、回収して調べる価値なしってことなんでしょう。膨らむ理由が分かっているなら製品を直しなさいよ!調査していなくて、対策できてないから膨らむんでしょうよ!
パソコンと同じくメンテナンスが必要な製品である、車の燃料タンクや電気自動車やハイブリッド車のバッテリーと比較するとどうでしょう?燃料タンクが変形してフレームを変形させていたり、バッテリーが膨らんでトランクやフロアーが変形してきているとしたら安心して使えますか?
今のHP製品ってこういう欠陥品に高確率で遭遇します。多分、Compaq のHP設計製造ルールがベースになっているからでしょう。昔のHP Vectra時代のHP PCは頑強そのもので安心して使えました。(それがベースになったら今生き残っているかどうかは疑問ですけどね。)それが安物PCメーカーのCompaq と一緒になって安物ベースになったものだからいつ火を噴くかドキドキものです。(今年ではありませんが、840 G3のバッテリーは実際にオフィスで火を噴きました。火事にはなりませんでしたが、その一歩手前まで行きましたとさ。)
個人的には、なんでHPのノートPCを使うの?って尋ねたい!
余談ですが、HPのデスクトップPCは安物っぽくなりましたけど、安定性は抜群。
HPのリペアセンター
保証期間が残っている場合は、リペアセンターに修理を依頼します。
だいたい戻ってくるまで1ヶ月くらいかかります。ただのパーツ交換になぜ1ヶ月も掛かるのかと思いますが、それだけ、市場でPCが壊れているんでしょうね。
先日、修理依頼をしていたElitebook 840 G3が戻ってきました。パーツ交換だからSSD上のOSとデータはそのまま使えると思っていたら、Cドライブが初期化されていました。(ガックリ)
ユーザーに返却する前にOSを再インストールしないといけません。
やむなく、OSインストールを始めた頃から、内蔵冷却ファンが最大速度で回り始め、PCを起動している間、全く回転数が落ちない!キーボードを触っていると、CPUがある場所の反対側が異様に熱い。
なんか、おかしい・・・と、修理から戻ってきたばかりのPCを開けてみました。
CPUの裏側が異様に熱くなっていたので、CPUあたりを触ってみたところ、ヒートシンクがグラグラと揺れました。なに〜!!!!! 固定されていないだと!!!
よくよく調べてみると、接しているだけでネジ留めされていません。このまま使っていたら、高負荷時にCPUが熱で壊れるところでした。そりゃ、冷却ファンが最大回転数になるわけです。
ヒートシンク固定ネジを4箇所締め付けしっかり固定したところ、冷却ファンは静かになりました。
その他の取り付けネジを再確認してみたところ、バッテリーもネジが止めされていません。
修理に出したら、故障ポテンシャルを仕込まれて戻ってきたというわけです。自社で修理しているのか外注に投げているのか分かりませんが、HPの修理も最低です。
HPタイマーの存在
単語としてはあまり聞きませんけど、HPのノートPCに関してはタイマーが存在するようです。
保証期間まで数ヶ月になった時点で何か不具合があったら、迷わず、HPのサポートセンターを悩ませましょう。放置して保証期間切れ後、故障が確定したら新品が買えるくらいの修理代を請求されます。
バッテリーも powercfg.exe を使って常にモニターしましょう。