昨年2015年後半、DOSパラに立ち寄ったときStick PCなるPCカテゴリーがあることを知りました。この話題に関してなかなかメモする時間が無く、約半年遅れでこのメモを残しています。
スティック PCとは、USBメモリやUSB無線ドングルを少し大きくした棒状のケースの中にPCの機能を詰め込み TVのHDMI入力端子に直結できるようにし、キーボードとマウスだけ外付けすれば、Windows 8.1 または Windows10 PCとして動作させることが出来るというPCカテゴリです。Stick PCの電源はスマートフォン充電用のMicro BタイプのUSB電源が使える他、USBポートが付いているTVが2Aの電流を供給できるなら電源アダプターを使用することなくPCを起動でき、消費電力は定常状態で10W以下ということになります。
ネットワークはWiFiとBluetoothが内蔵されているため、自宅の無線LANアクセスポイントに接続して使うことが前提になります。Bluetooth キーボード、マウスを使えば、Stick PC本体の所在を気にすることなく、まるでTVがPC内蔵のような使い心地です。(無線キーボードを使用するには、一度有線キーボードを使用してペアリングを行うか、専用ドングルタイプの無線キーボード、マウスを使用する必要があります。)
CPUは4コア 1.33GHz のIntel Atom、 内蔵メモリは2GB、内蔵32GB eMMC で拡張性はありませんが、唯一Micro SDスロットにSDカードを差し込むことにより、Dドライブとして64GBや128GB拡張できます。eMMCは一部をリカバリーパーティションとして使用済みなので、Cドライブとして使用できるのは20GB程度になります。OSは Windows 8.1/10, Linux から選択することになりますが、通常はWindows 8.1か10 で使いやすい方を選べばOK。Windows8.1から10へのアップグレードは今は無料なので、8.1搭載のものの方が安いなら 8.1を購入してすぐに10に上げれば済むこと。
Linux タイプは製品が少ないことと搭載メモリが少ないので、Windowsタイプを購入してLinuxを入れ直せば良さそうなのですが、うまく行かないという情報が多数あります。
価格は1万円〜2万円あたりのものが多く見られます。スペックはほぼ同じで、違いはUSBポートの数と冷却ファンを内蔵しているかどうかの違いくらいです。いろいろなレビューで、冷却ファンの付いていないモデルは、オーバーヒートするというコメントが多かったため、私は、以下の Intel の「STCK 1A 32W FCR」Win8.1with Bing をAmazonで購入しました。
約1万6千円。コンパクトにまとまった箱の中からパーツを引き出し、HDMI延長ケーブルでTVに接続し、USB HUBを使って有線キーボードとマウスをつなぎ、USB電源アダプター(5V 2A)をMicro USBケーブルで接続して電源ボタンを押すと Windows 初期設定画面で始まり、hotmail アカウントでログインしたら設定完了でした。
ちなみに、5V 1A のUSBアダプターで立ち上げようとしたら、起動せず。ちゃんとIntel製のUSB電源アダプターを使うと問題なしでした。
パフォーマンス
まずは、パフォーマンスについて。私がStick PCを購入した大きな目的は、近くにPCが置いていない部屋で調べ物をしたくなったとき、TV+Stick PCを利用できるようにしたいためです。具体的には、Webブラウザーを使うことが出来、メールチェックが出来れば許容範囲。Webブラウザー経由でYoutube の動画再生できれば十分。Stick PCでメインの作業、例えば表計算や重いゲームまでは求めません。
実際に試してみると、電子メールとWebブラウザーは問題なく使用できます。Youtubeの動画再生に関してHD品質ビデオであっても普通に再生できます。ただし、動画再生中はCPU負荷が100%近くに張り付くこともあります。
消費電力
計測はしていませんが、電源が2Aのものなので、10W以下で動作していることは確実でしょう。
TV以外のディスプレイとの接続
HDMIコネクタ内蔵なので1920×1080モードがあるHDMIポート付きディスプレイ(またはTV)としか接続できないかというとそうでもなくて、HDMI→VGA、HDMI→DVI変換アダプターを使用することにより、HDMIポートの付いていないディスプレイとの接続も可能です。
ただし、この場合はPCの音が出なくなります。Stick PCはHDMI経由で音声を出力しているためです。
感想
仕事場ではない場所に置いておくPCとしては最適です。まともな処理をしたい場合はリモートデスクトップでメインマシンに接続すればいいわけです。
故障と不安材料
用途限定ながらコストパフォーマンスに優れたPCで、このあといろいろいじってみようと思っていたところで、突然、ある日のStick PC起動時にビデオ信号が出なくなってしまいました。パワーボタンは反応しているため故障じゃなくて、BIOS設定情報が吹っ飛んでしまったような感じ。普通のPCだったら、ビデオカードを替えるとか、CMOSバックアップ電池を外してリセットしてみるとかやってみるべき事はあるのですが、Stick PCはユーザーが手を出す余地が無く、いきなりサポートが必要になります。Amazonやマーケットプレイス出店者の「家電ヒットアイテム」にコンタクトしても気の利いたレスポンスがあるとは思えないので、直接Intel のサポートに連絡してみました。
そうしたところ、翌日にはレスポンスがあり、可能であればBIOSアップデートをしてみて欲しいとのこと。画面が見えないので、めくらうちで試してみたものの、やっぱり画面表示がないのでどうしようもなく、再度Intelに保証期間内の交換を依頼してみたところ、OK。手続き後、月曜日に到着するように発送したところ、水曜日には交換パーツが到着しました。新品との交換なのですが、私が使っていたのはWindows8.1モデル。交換されたのはWindows10モデル。Win8.1→10へのアップデートを体験してみようと思っていたので、OSが代わってしまったのはちょっと残念ですが、8.1を使い続ける気は無かったので、まあいいか というところです。
今回のケースでは、インテルのサポートは素晴らしく早かったと言えます。
一応、保証期間内だったのでインテルのサポートを利用してみましたが、保証期間切れで故障した場合は、ユーザだけで出来ることがないため不安が残ります。データはOne DriveかSDメモリに保存するようにしないとデータを丸々失ってしまうかもしれません。
形状は少しStick PCと異なりますが、Raspberry Pi もほぼ同じ使い心地。Windowsを使用したい場合はStick PC、Unix系を使いたいなら Raspberry Pi という使い分けが良さそうです。