レンタルサーバー不要、無料でWordPress サーバーを使う

自分の手元のパソコンだけでWordPressを動かして動作確認するための仮想サーバーを作ってみました。
別の言葉で書くなら、VirtualBox用 ライブファイルシステム livefs です。

WordPress はサイト構築者にとっては大変便利でありがたいWeb環境を提供してくれますが、使用するためには最低 HTTPサーバー(通常はApache)、MySQL、PHP が動作して、その他 メールサービスくらいは利用できるWebサーバーが必要になります。Unixベースのシステム構築が苦にならないエンジニアなら、半日もあればサーバーを準備することが出来ますが、コンテンツデザインが本業のデザイナーや文筆作業が専門のライターにはハードルが高い話で、自分が契約しているプロバイダーのWebサーバーが MySQLに対応してくれていればいいのですが、そうでなければ、「ちょっと WordPress ってどんな使い勝手なの?」とテストしてみたいだけでもWordPress Ready のサーバーをレンタルしなくてはならなくなってしまいます。最近は無料のWordPressレンタルサーバーもあるようですが、広告付きだったりします。

物理的なWordPress用のサーバーを準備することは簡単な作業なのですが、「あなたのWebサーバーをちょっとテスト用に使わせてください」と言われると、ディスクスペースに余裕がなかったり、データベースのアカウントを準備したり、ユーザーディレクトリのアクセス権を確認して不可視保護しなくちゃいけませんから、親しい友人からの依頼であったとしても、そう簡単に設置させてあげるわけにはゆきません。WordPressマシンを一台作ってくれと言われる方が簡単です。

Webサイトデザイナー側から見ると、自分用テストサイトで試作ページを構築して、関係者に確認をしてもらい、合格なら本番サイトにまとめてアップして公開開始!としたいのが本音でしょう。一時的にホームページを非公開にして、コソコソっとサイトを構築したあとで公開という手もありますが、運用中サイトのデザイン変更にこの手を使うわけには行かないでしょう。

こういった実情から、レンタルサーバーを借りることなく、手元のパソコンだけで WordPress を無料で使うことが出来る仮想サーバーを構築して、誰でも簡単にダウンロードして使えるようにしてみました。デザイナーの知人用に構築しましたが、私的に使われる分には誰が利用してくれても構いませんので、公開することにしました。

まずは、WordPressでデザインすることが多い知人向けに、MacOS上で手軽に使えるようにと以下のプラットフォームを選択しましたが、Windowsでも利用できるはずです。。

  • ホストOS: MacOS (10.6.8 と 10.7.5 で動作確認)、Windows XPで動作確認
  • ゲストOS:FreeBSD 8.4(32bit)
  • 仮想化ソフトウェア: Virtualbox (Mac版 4.2.18、Win版は4.2.18 と 4.1.14で動作確認)

使い方

  1. Virtualbox サイトから最新のVirtualbox プログラムをダウンロードして、自分のパソコンにインストールします。(管理者権限が必要。) Virtualbox(以下vbox)を利用する場合は4GB以メモリを搭載するマシンを利用するのがいいでしょう。
    vboxを起動すると、ホームディレクトリの下に「VirtualBox VMs」というフォルダーが作成され、仮想マシンや設定ファイルを保存する場所となります。
  2. 以下のリンクから、圧縮された仮想WordPressHDDイメージ(約500MB、501,976,824バイト)をダウンロードして展開します。
    http://www.lifewithunix.jp/download/vwp1.zip
    チェックサム情報をメモしておきます。MD5 (vwp1.zip) = b107d028c20cb074fa040cc1df6da5b3
    ただし、このサーバーの回線速度は100kB/sec程度が最大であるためダウンロードには数時間かかると思います。複数人が同時にダウンロードを行うなど、混雑しすぎるようであれば、どこかにミラーサイトを置くなど考えたいと思います。
    (2013/12/17追記)
    Windows7 Pro + Virtual PCによる仮想WordPressのダウンロードは こちらからどうぞ。
    (2015/09/04追記)
    仮想WordPressの動作OS環境をFreeBSD8.4から10.2 に更新しました。詳しくは、「仮想WordPress 動作環境アップデート」をご覧ください。
  3. 展開して作成されるファイル構成は次のようになります。
    • /VirtualBox VMs
      • /WordPress FreeBSD
        • /WordPress FreeBSD.vbox (設定ファイル)
        • /WordPress FreeBSD.vdi (仮想ハードディスク)VirtualBox VMs 木構造
  4. 起動は、「WordPress FreeBSD.vbox」をダブルクリックするか、
    Virtualbox を起動した後、「仮想マシン」→「追加」で「WordPress FreeBSD.vbox」を選択したあと、起動ボタンで起動することになります。
  5. 仮想マシンの設定
    特にX-Windowを使うこともないので512MB に設定しています。必要無いとは思いますが、一応スワップを1GB確保しているので、リソース不足になることは滅多にないと思っています。
    一番大きなポイントが「ネットワーク」の設定で、ブリッジアダプターを設定しています。これは、仮想WordPress環境(以下、vwp1)が起動すると、設置場所のネットワークに一台ホストが追加されたかのように振る舞います。vwp1 は設置場所のネットワークから1つのIPアドレスをもらい、そのアドレスを持つホストとして振る舞います。(必ず自ネット内にDHCPサーバーが必要です。通常はルーターのDHCP機能を使用してください。)
    Mac版vboxでビルドしているため、ネットワークハードウェアの異なるWindows版で使用する場合、初回起動前にネットワークデバイスを選択し直す必要があるかもしれません。
  6. アカウント
    vwp1 には複数のアカウントが設置済みです。何かの作業が必要でパスワードを求められたら、wordpress とタイプすればなんとかなるはずです。

    • root(管理者用)、パスワードは wordpress
    • wordpress(wordpress利用者用)、パスワードは wordpress
    • phpMyAdmin(wordpress用MySQLデータベース管理用)
      • wordpress、パスワードは wordpress
  7. VirtualBox が vwp1 の起動を終えると、ただの真っ暗な画面に login: というプロンプトが現れるだけですので、何かかっこいい画面が現れることを期待していた人にとっては興ざめでしょう。でも、DOSの時代はこんなだったのよ~。
    仮想WordPressログインプロンプト

    仮想WordPressログインプロンプト画面

    さて、このvwp1をアクセスするためのIPアドレスがわからないことには先に進まないため、ここら少しだけコマンド入力が必要になります。login: の後にアカウント情報を入れてログインする必要があります。

    login: wordpress
    password: wordpress エコーバックされません

    You may also use sysinstall(8) to re-enter the installation and
    configuration utility. Edit /etc/motd to change this login announcement.
    wordpress@pc22:~ %

    上記のようなコマンドプロンプトが出てきて、入力待ちになりますので、ここに ifconfig と入力。仮想wordpressホストのipアドレスを確認するifconfigコマンド

    「inet」に続く4つの数字が仮想WordPressのIPアドレスなのでこれを忘れないようにメモしておきます。通常自宅環境であれば、このIPアドレスは当分替わることはありませんが、オフィス環境などでIPアドレスのリース時間を短めに設定してあるようなケースではvwp1を再起動するごとに変化する可能性がありますので、起動毎にこの確認が必要になる場合があります。

  8. 動作確認
    上記作業で確認したIPアドレスに対し、Webブラウザーからアクセスを行ってみます。
    http://192.168.1.22/
    下図のように、WordPress 設定画面が出て来れば成功。
  9. WordPress初回アクセスWordPressの使い方
    動作確認用に、とりあえずWordPress3.7を入れておきましたけど、基本的には自分で設定して使ってください。
    WordPress利用者は、上記7で調査したIPアドレスに対して、ftp を使ってファイルをアップロード・ダウンロード出来ます。

    • homepage :この下がホームページトップになりますので、この下にファイルを置くことによりWebブラウザーで表示できるようになります。
    • cgi-bin : もし必要なら、cgi プログラムを置くことも出来ます。その場合は、このフォルダーの下に置いてください。
    • log : Webサーバーへのアクセスログとエラーログが保存されます。
    • その他のフォルダー :作業用とメール用にフォルダーがありますが、WordPressでは使用しません。
  10. phpMyAdmin
    http://192.168.1.22/Database/  という風に IPアドレスに続き /Database/ とURLをタイプすればphpMyAdmin を使うことが出来ます。ここも wordpress:wordpress でアクセスできます。ちなみに動作確認用のデータベース名は「db1」です。
  11. 注意事項
    コンソールを使用した場合にログオフするには、exit とタイプしてください。
    困ったとき、コマンドを取り消したいときは、Ctrl-C をタイプします。止まるかどうかは発行したコマンドや状態によりますけど、コンソールから「やばい、何かやってしまった」と思った場合は、とりあえず ctrl-c しかありません。
    どうしようもなくなったら、仮想マシンをリセットしてまえばいいでしょう。
    コンソールのキーボードには101英語キーボードをマップしています。基本的にコンソールから直接コマンド入力することは無いはずですが、日本語キーボード利用が好みの方は、telnetやsshを使ってvwp1へアクセスしてください。
  12. 仮想環境を停止させる時は
    login: プロンプトから root でログインしてください。パスワードは wordpress。
    プロンプトに shutdown -p now とタイプすればシャットダウンシーケンスが始まります。
  13. 禁止事項
    この仮想環境は、このままの状態では、絶対に不特定多数が使用するグローバルネットワークでは使用しないでください。すべてのアカウントとパスワードを公開していますので、踏み台にされるどころか、簡単に環境を乗っ取られます。自宅ネットワークやアクセス状況を把握できるSOHOネットワークで使用するか、仮想ネットワークをブリッジからNAT環境に切り替えて、他PCからアクセスできない環境で使用することをおすすめします。
    グローバルネットワークで使用したい場合は、全てのパスワードを簡単にはわからないものに変更してください。

動作環境

なぜ、VirtualBox + FreeBSD 環境なのか? と不思議に思われるかもしれません。理由は簡単。VirtualBoxが無料で利用できるVMの一つだったからです。FreeBSDを選んだ理由も、仮想WordPress環境にはGUIは不要で少ないリソースを出来るだけ有効に利用できるFreeBSDが有利だったことと、MacOSとFreeBSDは殆どのコマンドのソースコードが共通であるため今後vwp1に改良を加えて行く過程で有利だと考えたためです。VirtulaBoxはWindows用やLinux用もリリースされており、vwp1.zip はWindows用のvboxでも動作します。

今後の展開

利用者が増えるようであれば、もうちょっとFreeBSD機能追加するかもしれません。
設定したいことは山ほど残っていますので今後も仮想HDDに修正を加えて行く予定です。

何か気づきなどあれば、下のコメントフィールドやコンタクトリンクを使用してください。

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