5月に入り6月が近くなってくると、机の下に置いてあるサーバーが排する熱が気になってきます。先月(4月)まではサーバー排気熱はどちらかというと暖房として価値が高かったため重宝していましたが、今後しばらくは邪魔者として扱われてしまいかわいそうなサーバー君たちです。
サーバータイプPCはタブレットやデスクトップ用PCなどと異なり必要なときだけ電源を入れればいいというわけにはいきませんから24時間稼働状態で、節電のために管理者が出来ることは少数台数で運用できるようにすることと低消費電力のパーツを利用する事くらいです。
こうなってくると、今年も「節電」という言葉がうらめしく思えてきます。当然、節電を行いますが、それは日本の電力事情を考えているためではなく、単純にサーバー以外の電気部品が消費するで電力を減らして、熱の発生を抑えたいためです。エアコンも好きではないので余り使いたくないところです。仮に原子力発電所が稼働していたとしてもそれは同じです。しかし、「これ以上電力を使うと停電が起きるかも!」という状況でサーバーを運用するというのは、正直気分が悪いと言えます。電気製品は、スイッチオンとオフの時が最も壊れやすいため、頻繁にON/OFFを繰り返したくありません。照明、コーヒーメーカー、ドライヤーのような交流電源をそのまま利用する機器はいいのですが、交流電源を直流に変換するための整流器を持っている機器は、経験上、電源On(Offの時は気付かないだけ)でなんらかのトラブルが発生することがあります。
2011年の関東地方の計画停電では、当時、私が住んでいた地域で計3回の停電に見舞われ、LANのHubが壊れました。電源を切らないことが前提の機器(しかも安物)は、ブレーカー断の後の、復帰に弱い気がします。
200台以上のサーバーを管理・運用していた友人は、「ビルの法定電源点検の日が一年で一番憂鬱」と言っていました。200台もサーバーがあると、一度電源を落として復帰させるとき、起動しなかったり途中でエラー停止してしまうサーバーが必ず数台発生するとのこと。電子パーツの故障率が0.1%くらい(1000個PCパーツを購入すると1個程度最初から壊れているものが混じっているのと同じくらい)だとして、1台のサーバーは10個以上のパーツから構成されていますから、1~2台は壊れたり、途中でエラーを吐いて停止してしまうホストが生じる見積もりです。中でもHDD、電源、ファンは消耗品ですから特にエラーが発生しやすいのです。RAIDを組んでいるサーバーが起動しなかったら涙が出ます。起動しないコンピュータのトラブルシューティングがどれだけ大変な作業かということを思い出せばわかる話で、しかも中のデーターを失ってはいけないとなると、復帰にどれだけの労力が必要になるのか!
要するにコンピューターは、動かし続けるか、停止し続けるかの状態が一番安全で、安定しているということです。「電力供給が危ないからサーバーを落としてくれ!」と言われたくない理由の一つです。
1台の実サーバーで100社くらいの仮想Webサーバーを動かしているレンタルサーバー業者は何百台ものサーバーを動かしているわけですから、万が一にでも電力供給がストップしてしまったら、そのあと大変なことになるはずです。
ここで、また、既存のマスコミ批判ですが、あいつら、公共のリソースを使って「原子力=悪者」という結論をでっちあげて、すべての情報をそこに導こうとしていないか?とニュースなどの報道を見て感じます。長崎県の状況は知りませんが、広島県でTVニュースを見ていると、全てのローカルチャンネルで何かにつけ、「原子力=悪者」という自明の理であるかの報道がなされ、吐き気がします。思考停止状態とはこういうことを言うのだという典型的な例だと感じています。
原子力に関する私の認識は次の通りです。(簡略化して述べています。)
- 原子力に善も悪もありません。原子力とは自然が持つ4つの力のうち一つで、利用の仕方により我々に大きなエネルギーと知識を与えてくれるものです。
自然界には4つの力があり、1)強い力、2)弱い力、3)電磁気力、4)重力 です。
1と2が原子力と呼ばれるもので、エネルギーの元として1を利用しているのが原子力発電。3を利用しているのが火力発電。4を利用しているのが、水力発電。揚水型水力発電は1+3→4ってところです。地熱発電は2+4ってところ。太陽光発電は1+2。風力発電や波力発電も元は太陽光なので 1+2。潮の干満を利用する潮力発電は4。
化石燃料も元はといえば太古の太陽光エネルギーを有機物に変換したものなので、大元をたどれば1+2と言えます。 - 我々が電力として利用している源は、自然界にある原子力で、それが人間の身勝手な認識から、遠くにあればクリーンエネルギー、近くにあれば汚染物質として扱われていのが現実というわけです。
実は太陽は遠くにあるから安全というわけではなく、地球の磁場と大気が太陽からの有害放射性物質の到達を弱めてくれています。磁場のエネルギー源は地球コアの熱エネルギーで、これも動力源は原子のβ崩壊熱と言われているので2の弱い力、つまり原子力です。 - また、我々の体を構成している物質は、遠い過去、天然核融合原子炉の中で生成されたものです。殆どの構成物質は放射線を出さないものですが、いまだに体中で放射線を出し続けている物質も存在しています。
日本人は放射線を浴びることが好きな国民性でもあります。ラジウム温泉など放射性物質を含む温泉が好きな人はたくさんいますね。
定期健康診断で浴びる胸部レントゲン検査、バリウムを飲む胃部レントゲン検査、CT撮影、PET検査、がん関係の検査で被爆する検査。航空機による高々度の移動。
日常生活において、放射線被爆を増やす行為です。 - 原子力の恩恵により生存を許されている人間が、こういう現実に目を向けず、「原子力は悪いもの。原子力技術は危ないもの。」という論理の報道しかできないマスコミって幼稚園レベルと言わざるを得ないのではないでしょうか。
もっと現実と事実を認識すべきです。 - 原子力が使われると(元素が別の元素に変換されると)、そこに必ず放射線が発生します。
今の技術で核融合は継続運転できないので、以下は核分裂についてのみ言及します。
放射線とはα線、β線、γ線のことで、一過性のもの。出たら終わりで残りませんから近距離で浴び続けない限りそれほど気にする必要がないものです。ちなみにα線はヘリウム原子核でありふれたもの。地球上で生産されるヘリウムは、このα線が元になっています。今、α線が無ければヘリウムを確保できない。β線は電子。γ線は光です。当然、太陽光も放射線の一種です。
重い元素が強い力によって分裂するとエネルギーと放射線が出るほかに、別の物質に変わります。レンガをハンマーで割ると小さくなるようなもので、元の元素がどんなサイズの元素に割れるかによって安全か危険かが違ってきます。酸素や炭素のような軽い元素だけに割れれば殆ど危険ではないでしょうが、放射線を発生し継続して崩壊を続ける別の元素(これが放射性物質)や、人体に有害な物質に割れてしまうと危険ですから、元素分裂(核分裂)を起こす場合は、それを封じ込める必要があります。
封じ込めに成功すると便利なエネルギー源、封じ込めに失敗すると、広い範囲を汚染してしまい、毒物と放射線発生源になってしまうわけです。
最近、スイスにあるLHCでヒッグス粒子が捉えられたかもしれないという発表がありましたが、LHCでやっていることは核分裂と核融合ですから放射線が充満する世界を計測しています。しかし、放射性の核は生成されないため、実験が終われば放射線は消える一過性の実験です。 - これらの物質の振る舞いは自然現象ですから、良いとか悪いという議論をしても仕方ない話です。放射性物質はそういう性質の物質であり力であると受け止めるしかありません。自然現象を理解して、道具として利用してゆくというのは人類の変わらない姿勢であり歴史です。扱いにくい自然現象、物質であるとしても利用するためのひたすらチャレンジを続けてゆくべき題材なのだと思います。一度失敗したら永遠に諦めるのか、原因を究明してチャレンジし続けるのか?
簡単な問いです。 - 2007年の新潟県中越沖地震と2011年の東日本大震災では、幸いなことに地震の巨大な揺れに対しては原子炉の停止に成功したようです。その意味で、今の日本で運転している原子炉自体は、大地震の揺れに対してしては既に合格点であると言えるでしょう。(改良は必要でしょうが。)
原子炉は停止させた後、停止したままにしておくとしても約3年間は冷却し続ける必要があるため、継続冷却を行う必要がありますが、これに失敗したのが福島第一原発の1~4号機。
今の原子炉は揺れに対しては何とか耐えるが、災害後に必要となる冷却設備の安全性は不十分だったということです。 - 現在停止している既存原発も、論理的に安全対策を行った後再稼働させて、継続的に安全性を高めてゆくべきだと思います。間近だと言われている富士山(または別の火山の)噴火による火山灰対策や、東南海地震対策も必要です。
そもそも、日本の原発だけいつまでも止めていても仕方ないでしょう。西風が吹く日本で、中国や韓国沿岸部の原子力発電所に事故が起きたらどう受け止めるんでしょうか。
隣国での原子力発電所の事故が起きないとしても、今、地球の地磁気が弱まっている状況ですから、我々が生きている間に地場反転が起きないとも限りません。地場が切り替わるために一時的に地磁気が停止しシールド効果が消滅している期間、太陽からの有害放射性物質が地球大気圏に飛び込んでくることになります。これらの放射性物質は生物の遺伝子を傷つけるでしょうし、これを防ぐには地下で生活するしかありません。原発事故程度の問題ではありません。
そして、最大の放射線は、近くの恒星の超新星爆発によるガンマー線バースト。オリオン座のベテルギウスがそろそろ超新星爆発を起こすと言われています。それは一万年先かもしれませんが既に起きているかもしれない(地球に到達していないだけかもしれない)事件です。計算ではガンマー線は地球を直撃することはないと言われていますが、実際に超新星爆発が起きてみるまではわかりません。直撃した場合は地球生命絶滅となる可能性がある宇宙イベントです。
こういう放射線に関する宇宙レベルの危険イベントが待ち構えているのに、「日本の原子力発電所を呈させておけば安全だ!」だけ言っていても仕方ないでしょう。福島第一原発の事故は不幸な事故でしたが、事故を不幸として片付けないで、可能な限りのの人体データ・医療データとして収集すべきではないでしょうか。
原子力発電所から出る放射性廃棄物や原発事故による汚染物質の他にも、我々日本人は常に微量の放射線を浴び、放射性物質を身近において暮らしているわけです。
しかも、日本国外から見れば福島原発事故は日本という極東の一国におけるローカル事件です。(スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故の2年後に、日本人がこれらの事故をどう受け止めていたか考えればわかるでしょう。)原子力発電は運転時に二酸化炭素という温暖化ガスを放出しないクリーンな発電です。南太平洋の諸島国家から見れば、二酸化炭素放出は国家存亡に関わる問題であり、原発事故なんてどこかの国のローカル問題に見えるかもしれません。温暖化で国土が海に沈んで住めなくなってしまう国の人から見て、原発事故で現場近辺に人が住めなくなることがどう見えるのでしょうか。
思考停止するのではなく、複数の視点から現実を認識して、エネルギー生産方法をどう変えてゆくのかを冷静に考えてゆくことが日本人のあるべき姿で、マスコミの報道姿勢も「原発事故→原発は危険」ではなくて複数の視点で考えて報道して欲しいものだと感じています。
サーバー運用と夏場の節電に関して書こうと思っていたら、前から感じていたマスコミのアホから発信される偏った情報について言及してしまい、システム運用の話から発電の話になってしまいましたが、あとちょっとだけ。
ところで、発電に使われている化石燃料やウランをこのまま使い続けるとして、あとどれだけ採掘可能な場所に残されているか知っていますか?
化石燃料は、石炭を除くと、数十年分と(数十年前から)言われています。(幸いまだ枯渇していません。)最近、シェールガスの採掘が始まり、メタンハイドレート採掘研究も始まっていますから事情は少し異なるかも知れませんが、とりあえず100年分というところでしょうか。石炭は、数100年分と言われていますが、いずれも化石燃料ですから、いくら残存埋蔵量があろうと使い続けるべきではないエネルギー源と言えます。火力発電こそ早急にシャットダウンできるように別の発電方法に置き換えるべき技術です。
では燃えるウランならたくさんあるのか?と、いうと、これも化石燃料と大した違いはなく、今の技術の原子力発電所で使うと数10年分と考えられています。ですから、原子力発電も近年のうちに置き換えなくてはいけません。高速増殖炉が安全に稼働すれば、石炭並みになるのかもしれませんが、もんじゅはナトリウム冷却を使っていますから、事故が発生して原子炉を止めた後、万が一にも電源が無くなってしまったら水では冷却できないわけですから、代替冷却方法を思いつきません。核分裂を利用する現行の原子力発電も近々置き換えなくてはならない技術なのです。
エネルギー生産は、太古に蓄積された資源ではなく、今、継続して作り続けることが出来るエネルギー源に置き換えてゆくべきなのでしょう。個人的には、バイオマスをエネルギー源にすることと、太陽光とマグネシウムを利用したリサイクル可能な電池が有力なのではないかと考えているところです。空気マグネシウム電池が実用化・量産できれば日本がエネルギー輸出国になります!日本がエネルギーとしての化石燃料を輸入しない国になるとしたら、世界の構造が変わると思いませんか!?