携帯通信を行うとどの程度のパケットが発生するのだろうか?
私は持ち歩き用としてWillcom hybrid W-Zero3 (WS027SH)を使っていますが、この端末はウィルコムPHS回線とソフトバンク3G回線を選択して使用することが出来ます。PHS回線はパケット制限がないので時間を気にせず使用することが出来るが、3G回線は1パケットが0.1円で上限が5000円/月(計算を簡単にするため消費税に該当する数字は省略)。カタログには 0.1円/パケット、500万パケットで速度制限となっている。回線切り替えは手動。速度では見劣りするが追加料金が発生しないPHS回線を常時使用しています。
今までは漠然と月間のパケット使用量を見てきたけど、通信一つ一つがどの程度のパケットを消費しているのか考えていなかったと少し反省。iPhoneが欲しいが、現実にはどういうケースでどれだけパケットを使うことになる(使っている)のか知りたいと思い、実験と推測を交えて、携帯通信のパケット料金について考えてみることにした。
通信の半分は空っぽパケット
パケット数というのはかなり曖昧な計測方法で、利用するアプリケーションによって大きく変動する。また、通信はデータ「送信」に対して、データを受け取ったよ!という「応答」パケットが発生し、それもパケットとして計測されるので、大雑把に言えば約半分のパケットはデータの詰まっていない空っぽのパケットということになる。私の見解としては、キャリアはパケット従量課金をすべきではなく、データ転送量の総和に課金や制限を設定すべきだということ。とはいえ現実はパケット従量課金なので、仕方がない。
疑問に感じるのは、3G回線料金の 0.1円/パケットという数字が、料金を払ってまで使う価値がある常識的な数字かどうかということ。どの程度のコンテンツを使うとどの程度のパケット料金が発生するのだろうか?正確に把握するにはネットワークキャプチャーをしてパケットを解析しないといけないが、おおよその数字を知りたいだけなので、机上の推測をしてみる。
パケット効率の悪い通信
リモートアクセスでサーバーのメンテナンスを行うようなケースの通信が効率最悪になる。「ps -ef」とプロセスを確認しようとすると、(タイプするスピードにも依るが)コマンド長 6文字+改行コード1文字の7パケットが送られることになる。さらに、コマンドのエコーバックが6文字分ある。これで13パケット。そして、コマンド発行結果がそれなりのパケット数で送られてくるが、一度に送られてくるデータはパケットに1000バイト以上詰め込むことが出来るのでパケット数は割と少ない。多分、殆どの結果表示は10パケットくらいで収まるだろう。コマンド入力時のパケット量を推測してまとめると、一つのコマンドを送って、結果を表示させると 20〜100パケットくらいかかっていることになる。これをウィルコムの3Gパケット料金になおして金額で表示すると、長いコマンドを送ったり、コマンドを修正する場合、1コマンド10円ですよ!
リモートメンテナンスを行うケースはかなり緊急時でしょうから、背に腹は代えられない訳ですが、1コマンド10円と思って作業すると緊張感が違いそう。
パケット効率の良い通信
パケット通信でもっとも効率が良くなるのは、一般的に ftp などのファイル転送時です。転送するファイルを一度決めてしまえばプログラムが勝手にファイル転送してくれて、人手でチマチマコマンドを送る必要がないのでスループットが最大になる。
このファイル転送を行う時のスループットを計りたいと思ったが、携帯端末でftp効率を図っても実用性がないので、ビデオPodcastのダウンロード効率を図ってみることにした。ターゲットは、Apple のキーノートスピーチ「Apple Special Event, October 2012」でファイルサイズは795MB(833,754,935byte) 。
Hybrid W-Zero3はWiFiSnapでルーターモード(PHS回線使用)にしておき、SIM無しiPhone3GからWiFi接続しダウンロードに掛かるパケット数をチェックする。チェックといっても厳密に行うわけではなく、転送中にメール着信は発生するし、転送を中断しiPhone上でアプリを動かすこともあるし現実的な使用状況のパケット数をチェックする。ファイルサイズが約800MBと巨大なため、他のアプリケーションが通信に使ったパケット数は無視することが出来る。
ウィルコムのホームページからダウンロード前後のパケット数を比較すると、約700万パケットが転送に掛かったパケット数と思われる。これで計算してみると、
833,754,935 ÷ 7,000,000 = 約120バイト/パケット
となる。仮に、データ受信応答パケットが1パケット毎に発生するとしても、サーバーから送られてくるデータは200〜250バイトくらいしか含まれていないことになる。LANによる通信でファイルダウンロードする場合1000バイト/パケットは軽く出るはずなので、それと比べてかなり小さい。これはPHS通信だからなの?3G回線で通信しても同じ結果なんだろうか?キャリア有利にパケット数計算するために意図的にネットワークの最大パケットサイズを制限しているんじゃないの?といろいろ疑問に感じてしまう。本当なら3G回線でも計測すべきなんでしょうが、700万パケットは3G通信の上限を越えて速度制限が掛かる数字だから、3G回線での実験はソフトバンクを儲けさせるだけだと予想している。それにパケット数を確認するためにわざわざオペレーターと話さないといけないので面倒だから省略ということでいいでしょう。
今回の実験から、効率がよい通信モードで、「1パケットあたり100〜120バイト」のデータを送受信していることがわかった。
パケット課金という料金形態について考える
PHS通信と3G通信が同じパケットサイズ処理されると仮定して、Podcast データをダウンロードする場合を計算してみる。
20分程度で10MBのMPEGオーディオファイル。
10,000,000 B / 120 x 0.1 = 8,333円。
まじかよ!どこか計算間違ってない?
料金上限が5000円に設定されているから5000円以上は取られないとしても、10MBで5000円オーバーって料金設定、問題ないのか?
では逆に1000円でどの程度のファイルをダウンロード出来るのだろう?
1000円 ÷ 0.1 × 120 = 1,200,000
わずか、1.2 MB。5千円なら、その5倍だから6MB。
仮に、有線LANのTCP/IPパケットの最大サイズ1500バイトを一つのパケットに詰め込むことが出来、応答パケット無しでデータだけ受信出来ると仮定して、120 を 1500 に置き換えて計算すると、
1000 ÷ 0.1 × 1500 = 15,000,000
で15MBとなる。千円で15MB。今の時代、これだって高すぎるでしょ。今回は私が2年前に契約してしまった「新ウィルコム定額プランGS」の話だけど、幸いなことにPHS通信はパケット制限無しとわかっていたので3G通信を行う気は全く無く3G回線は1ヶ月間使っただけ。もちろんMaxの5,250円取られました。
従量制料金についての考察
計測と計算を行ってきたが、1,000円で最低でも100MBくらい転送できないと従量制として公正な料金設定と言えないのではないかと感じます。
パケット従量制課金するなら、1パケット 0.001円 以下でないとその料金コースは利用すべきではないというのが実験データと他のサービスから導いた数字。1パケット0.1円なんてべらぼうに高くてあり得ない数字。
スマートフォン売り場の店員のやり方のえげつないところは、「1パケット0.1円で、5000円が最大」という言い方はするが、どの程度の通信をすれば1000円に達するのか言わないこと。知らないのかもしれませんけどね。実際には「1MBの添付ファイルを受信すると、または送ると1000円です。」ということになる。別の尺度では「スマートフォンでラジコを5分聞くと1000円」、「30分聞いてしまうとパケット料金は天井に貼り付きます」ってことか。別に携帯ラジオを買った方が安いよ。
私が契約した「新ウィルコム定額プランGS」で高速データ通信を利用したい場合の正解は、ソフトバンクの3G SIMは購入後に捨てるかマニュアルにでも貼り付けておいて、Docomoのサービスエリアが使えるBモバイルの月額SIMやSo-netのモバイル3G SIM を使うということだったのでしょう。この方がサービスエリアが広くて遙かに速い。
私の結論
1パケット0.001円以上の料金コースの場合、少しでも3Gパケットを使うと、その月の料金はMaxまで行くと思って使うべき というのが私の結論になる。はっきり書いて、携帯端末の従量通信料金は異常に高い水準だ。
パケット量によって課金するのではなく、利用可能帯域によってコースを設定する工夫が必要と思う。
例えば、帯域上限が 100kbps、250kbps、ベストエフォートで上限無しという感じのクラス分け。キャリア側の設定が煩雑になると思うけどこれくらい出来るでしょう。
こういう考察をしてみると、今月で縛りが消えるウィルコム hybrid W-Zero3 の契約だけど、au iPhone にするか、音声通話とメールが使える折りたたみ端末に戻すか、端末代金が消えて月額料金が安くなるのでもうしばらくWS027SHを持ち続けるか、逆に悩みが増えた気もする。